起業するにあたり、全額自己資金を用意できればそれに越したことはありませんが、店舗を構えたり、在庫を有する事業を始めるとなると多くの資金が必要となり、創業融資を利用する選択をすることが多いです。融資を申し込むにあたり、以下のポイントを明らかにすることが重要とされています。つまり、金融機関が見ているポイントです。創業融資では特に1~3が重要とされています。
1 申込金額(いくら貸してほしいのか?融資の申込金額)
2 資金使途(何に使うのか)
3 返済財源(どのように売上を立てて返済する計画か)
4 保全(担保、連帯保証)
5 返済期間
6 金利
今回は1 申込金額について見ていきます。
●自己資金について
日本政策金融公庫には、「新創業融資制度」という創業融資制度があります。こちらの申込要件は以下のとおりです。
- 対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方(注1) - 自己資金の要件(注2)
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします(注3)。
「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」とありますが、これはあくまで申込の要件です。
これから事業を始める意気込みや計画性を判断してもらうためには、1割の自己資金では満足とは言いづらいです。
3割程度、しかも一定期間継続的に積み立てられた様子を証明できるように資金は用意したいところです。例えば毎月3万円、ボーナス月10万円を3年間168万円貯めるなど。貯金箱は使わず、銀行等の通帳に入金します。タンス預金では、計画性等を証明できません。
なお、但し書きにもありますが、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」は、資金要件を満たすものとされています。この場合でも自己資金0円は現実的ではないでしょう。
●金額について
「飲食店でだからおそらく1000万円くらいあれば安心!」とか、「借りられるだけ貸してください!」という借り方はできません。
資金は、設備資金、運転資金に分類されますが、一つ一つ、何にいくらかかってというのを積み上げていきます。積算の過程で、経営上の仮定(理論構成)をして立てていきます。
この金額を出す前段として事業計画を立てます。この中では、商圏、客足、競合、価格設定、原価、取引先、人件費、改装費用などを検討する場面があるでしょう。これらが明らかになって、事業に回せる自己資金が明らかになって(つまり、生活費として残しておく分を確定させて)、初めて必要な資金が浮かび上がってきます。
(必要な資金と、自己資金を比べて、先に記述した自己資金3割程度を達成していない場合、資金調達方法自体を再考する必要が出てくると思われます。)
●公庫職員との面談
融資の申し込み後、公庫職員との面談があります。この際、事業計画をきちんと理論立てて積み上げた場合とそうでない場合だと、質問に対する回答の迫力が変わってきます。
自己資金によって、やる気と計画性を見せ、的確な質疑応答によって担当職員の心証を得るわけです。
当事務所では、融資申込のための事業計画からサポート致します。数年後に起業を検討している方もお問合せください。どのように自己資金を蓄えていけばよいかや、どのような行為がマイナスとなるかをアドバイスします。