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建設業許可 ~工事に係る契約書の取り交わしは必要?~ 秋田の行政書士上草事務所
2022.04.10

元請と下請けとの間で、契約書を交わすことは必要でしょうか。

結論から言って、必要です。

建設業法19条によると、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、法に列挙された内容を具備した書類を相互に交わさなければなりません。

必要性について下記の3点から考察してみます。


その① 建設工事の特殊性(高額かつ複雑)

建設工事はその内容が高額になることに加え、工期や工事内容について疑義が生じやすいです。

私も役所で工事契約担当であった時、メーカーからの機器納入の遅延による工期の変更や、工事の進捗による追加工事の発生など、やってみなければ分からないとも言える不確定要素が満載でした。

だからこそ、スタート時点で契約により工事内容や金額を固めておかなければ、変更のしようがないですし、協議による変更は紛争の元です。

 


その② 建設業許可等における法定書類になる

毎年の決算変更届等の基礎資料になります。

 


その③ 下請業者が建設業許可を取るためには契約書が必要

建設業許可を取得する際、「経営業務の管理責任者」(経管)と呼ばれる人を選任する必要があります。

この経管には、

①会社に常勤か、②役員等の経験があるか、③建設業の経験があるか等をそれぞれ証明します。

ここで、③の建設業の経験があるかについては、「建設業許可の手引き」(秋田県建設部建設政策課)によりますと、

工事請負契約書、注文書、注文請書、請求書等の写し(1年につき1件以上、必要期間分)とあります。

つまり、自社が唯一の取引先(元請)だとすると、下請けが建設業許可を取得するには、契約書を交わしていなければなりません。

下請業者としても、「もう何年も工事をしています」と言っても、この経験を認めてもらうのは難しいです。

 

行政は文書主義です。担当者は上席に決裁を仰ぎ、決裁後、許可の判断が組織としてされたものとして事務処理します。

上席に、経験は?と聞かれて口頭で答えるわけにはいきません。

 


契約書の整備が思わぬ利益を生む

冒頭でも書いたとおり、建設工事は高額な内容になります。

全ての工事で契約書を交わすのはとても面倒で、顔見知りであればなおさらですが、自分を守るためにも是非交わしてください。

また、契約書を交わすことは、「建設業経営の経験」の証明資料になります。契約書単体だけを社内に保管するだけでなく、内部的な意思決定を証明するため、決裁文書に、役員や総務部長など、将来的に経管に配置を予定している社員の稟議欄を設けます。これにより、建設業経営に関与した年数を疎明できる場合があります。

 

私が顧問契約により、社内体制を拝見した際には、経管・専技の将来構想とともに、組織図や、この決裁欄等の社内文書のコンサルも行います。


(法改正)請負契約における書面の記載事項の追加(19条関係)

工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容を書面に記載することなった。

~契約書への記載例~

〇工事を施工しない日 毎週土曜日/毎週日曜日/8月10日から8月15日まで 等具体的に記載

〇工事を施工しない時間帯 午後8時から翌朝6時までの間 等具体的に記載

これらの条項を契約書に追加します。「定めをするとき」とありますので、定めなければ記載の必要はありませんが、お盆や正月休みが予め決められているのであれば、法の趣旨から条項を盛り込むのがベターです。

 

~参考~

(建設工事の請負契約の内容)

第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容(新設)
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。