■例えば、食品を販売するA店が、チラシ作成及びポスティング費用として、国の「小規模事業者持続化補助金」を申請し、採択された場合を考えてみます。
小規模事業者持続化補助金で50万円の補助金を得た
この会社は、チラシ・ポスティングを活用したプロモーションを行おうと企画し、85万円の予算を用意しました。
そのうち、50万円を小規模事業者持続化補助金として申請し、採択されました。適切な補助金事務を行い、交付決定から8か月後、めでたく補助金が口座に50万円が入金されました。
この会社の収益力
項目 | 金額 | 備考 |
売上高 | 30,000,000 | |
原価 | 20,000,000 | |
売上総利益 | 10,000,000 | 売上総利益率33.3% |
販管費 | 8,500,000 | |
営業利益 | 1,500,000 | 営業利益率5% |
営業外収益 | 0 | |
営業外費用 | 0 | |
経常利益 | 1,500,000 | 経常利益率5% |
税引前当期純利益 | 1,500,000 | |
法人税等 | 450,000 | 30%と仮置 |
当期純利益 | 1,050,000 |
この会社の直近の損益計算書は上記のようなものです(補助金入金前)。年間3,000万円の売上高、経常利益は150万円出ています。
経常利益率(経常利益/売上高*100は5%)のよくある会社です。
では補助金50万円のインパクトとは?
この会社の経常利益率は5%です。
これは、100万円の経常利益を生むには、2,000万円売り上げなければならないという意味です。今、50万円の補助金が入金されたとなると、どうでしょうか。
その50万円の利益を残すために、いくら売り上げを立てなければならないでしょうか。
経常利益率5%の会社ですと、「1,000万円」です!
1,000万円の売上とは、この会社の売上の1/3に相当する額です。
50万円と聞くと、さほど高額ではないように感じるかもしれませんが、それを生み出す過程を考えると、簡単ではないのです。
しかし、詭弁的な部分を感じませんか?
ここまで説明して、何かおかしいなと感じた方もいるのではないでしょうか。
「補助金を受け取るまでに、会社では経費として使っている分もある。50万円が入金されたからと言って、単純に比較できないのでは?」
ここまで考えが巡った方は、素晴らしいです。
そのとおりです。
補助金は、「補助」金であって、使った経費に対してのキャッシュバックなのです。
今回のA社も、50万円を得るために、85万円の予算を充てています。
■ではどう考えるか?
→あらかじめ予定していた投資(施策)なのか、補助金を受け取ることが目的の投資(施策)なのかによって、受け取った補助金の貢献度が変わってきます。
①、②は、外から見ると同じ行動を取っているように見えます。しかし、内情が異なることで、補助金に対する捉え方がまるで変ってきます。
①は元々入金予定の無い50万円の補助金が入金されるわけですから、利益的側面をより強く感じるというわけです。
まとめ
①補助金は、金額以上のインパクトがある。
②予定していた投資(施策)に対するものであれば、より高い効果を感じることができる。